五色・淡路未来フォーラムは、以下の公開質問状を2月26日付で、五色町長宛に郵送しました。


五 色 町 長
砂 尾 治 殿
                            平成10年2月26日

公開質問状

               

先般(平成9年12月1日付けで)、私たち五色・淡路未来フォーラムの代表宛てに、生活環境課長名で同封のような通告文が送られてきました。ドイツから帰国直後の12月8日(月)朝、電話で同課長に問い合わせたところ、町長と協議の上で通告したとのことですので、ここに公開質問状を提出し、その真意をおたずねしたいと存じます。

.まず、私たちフォーラムのメンバー間で出しているニューズレターを、町が無断でコピーし、公的・中立的であるべき行政機関がその内容に対して町民の発言を一方的に封じ込めさせようとするやり方は、明らかに憲法で保証された表現の自由を公権力で抑圧しょうとするものであり、怒りに耐えません。現在、私たちは貴殿が恣意的に中止した五色町CATVの「黒い土」問題を考える広告放送が表現の自由の侵害にあたるとして、神戸地裁に提訴しております。いったい貴殿はどこまで私たち町民の表現の自由を封じ込めるおつもりなのですか。
ここに今回の件に対して謝罪を求めると同時に、今後このような抑圧的行政を繰り返さないという確約を強く求めます。

.さて、この通告文によると、さる12月に制定されたいわゆる「残土条例」は、県の「淡路地域における残土の埋立事業の適正化に関する要項」と「同じ考え」であり、かつ「内容は全く同じもの」であると主張されております。しかしながら、この条例によれば、遮水工事さえ施しておけば、国の「土壌環境基準(これはまた水質基準でもある)」を越える残土でも、産業廃棄物の処理に適応される基準値以下であれば、合法的に五色町に搬入してもよいということになります。その結果、例えば土壌環境基準値の1.7倍の量が検出されたということで五色町で大問題となったヒ素を例に取ると、なんとその30倍までならば、合法的に五色町に搬入してもよいということになります。すなわち、この条例は産業廃棄物のような土壌環境基準値を超える残土でも、合法的に五色町に搬入できるという、まさに五色町をゴミ捨て場、廃町にしようという恐るべきものなのです。なぜならば、いくら完ぺきに遮水工事をしていても、水はいつかは溢れ出し、地下水を汚染します。これは小学生にもわかる理屈です。私たち町民はその地下水を毎日飲料水にしているのです。地下水は私たち「五色町民」にとって「命の水」なのです。
 それに対し、県制定の淡路における要項は、もし「土壌環境基準」をこえる違法な残土(産廃)が持ち込まれた場合には、その応急処置として「地下水等への影響を防止する」ために、遮水工をしなさいといった、どこにでもあるガイドラインにすぎず、遮水工事さえしておれば、淡路島にどんどん基準値を超える残土を違法に持ち込んでもよろしいと県が奨励しているわけでは決してありません。ただ、県のこの要項には残念ながらこうした違法行為に対する罰則規定がないので、五色町「残土条例」ではそこを補強、強化するものにしましようということになっていたはずです。
 このように、五色町「残土条例」と県の要項では明らかにその考え方、内容が異なっております。なぜ、「残土条例」がこの要項と「同じ考え」であり「内容は全く同じもの」といえるのですか。この要項に沿って制定されたと主張されるのですか。その理由を明示ください。

.平成10年1月1日の条例施行後も、五色町には相変わらず産業廃棄物が違法に搬入されているとのことです。生活環境課によると、この業者は今年1月現在、いまだに五色町から残土搬入の正式許可を得てないとのことです。これらは事実でしょうか。もし事実ならば、なぜこうした違法行為を放置されるのですか。

以上の3点に関し、ここに五色・淡路未来フォーラムを代表して公開質問させていただき、貴殿の速やかなるご回答をお待ちしております。


                      五色・淡路未来フォーラム


                      代表 山口 薫

Cc: 貝原俊民 兵庫県知事


上記公開質問状に引用されている五色町からの通告文です。


                             平成9年12月1日

山口 薫 様
                        五色町生活環境課
                         課長 山口 正友



    「五色町における土砂等の埋立て等による災害及ぴ土壌汚染
     の防止に関する条例」について

寒さ日ごとに加わってまいりますが、貴方には益々ご健勝のこととお喜び申し上げます。
 さて、もう既にご承知のとおり、標記条例については、第273回五色町議会定例会にて議決され、平成10年1月1日から施行されます。
 現在、各地において説明会を開催しておりますが、先日、私の手元に別紙の写しが届きました。
 貴方が書いものと思われますが、そこには条例第7条第2項の「事業主は、土壌環境基準を超え土壌安全基準以下の残土を事業に用いるときは、遮水工による措置を講じなけれぱならない。」説明がなされていないため、遮水工措置をしなくても搬入できるような誤解を住民に与えてしまいます。
 誤解を与えないようにしていただきますようご通告申し上げます。

 また、産業廃棄物を合法的に五色町に搬入させる道を開くとのことが書かれておりますが、建設残土は「廃棄物の処理及ぴ清掃に関する法律」に規定されている産業廃棄物には該当しません。
 条例の土質基準の範囲設定については、平成6年11月付環境庁水質保全局長からの国の指導指針により準用したもので、県の要細と同じ考えです。
(詳しくは別紙のとおりです。)
 地方自治法では市町村が処理する事務は都道府県と競合するものであってはならないとのことより、県制定の要綱との整合性もあり、内容は全く同じもので、基準表での溶出量値IIを条例では土壌安全基準値と定義し、溶出量値Iを土壌環境基準値としたものであります。

 郷土を愛し、より良き環境を保全する気持ちは私達の共通するところであろうかと思います。微力ながら私達職員も努力し、頑張っております。
 今後共、建設的なご意見等ございましたら共に頑張りたく存じあげますので、よろしくお願い致します。


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