五色町はあくまでも表現の自由侵害違憲論議を回避し、この件を「純然たる私法上の契約である」、すなわち、個々人の私的な自由契約であると主張したいようです。しかるに、五色町長は、昨年12月の町議会で、「5日前に申し込んでいないと放送できないので、事務的な処理として中止した」といった主旨の答弁をしており、あたかもこの私法上の契約すら成立していない「その前段階である」と主張した。この点を原告代理人が指摘したところ、被告代理人はそれを否定し、フォーラムとの放送契約は成立していたことを認めた。
これにより、町長の「正式に許可を下ろしてもしも恣意的に中止をしたならば、これは当然山口さんの言われる表現の自由を侵したということになろうかと思うんですが」という、同議会での答弁の、前段部分(すなわち、正式に許可を下ろしたということ)が確定したことになる。従ってあとは、正当な理由なくしてに中止したことが立証できれば、町長自らが表現の自由を侵したことを認めることになる。
広告放送中止と同時に町が行った、山口さん家族へのホームステイ拒否差別問題については、町側の反論は準備書面になく(反論できない?)、原告主張が認められそうだ。
第3回公判は、4月10日(金)午前10時30分からで、いよいよ準備的口頭弁論(口頭による原告・被告の争点、証拠整理)が行われる予定である。次回が楽しみだ。
(五色・淡路未来フォーラム 三木 記)
研究室では、今回の争点を以下のように簡単に整理してみました。
争点1 |
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原告 | CATVは公の施設であり、正当な理由なくしてその利用を断れない。 従って今回の広告放送打ち切りは、表現の自由を保障した憲法違反である。 |
被告 | CATV広告は「純然たる私法上の契約」であり、憲法をめぐる問題は生じな い。 |
争点2 |
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原告 |
広告放送の内容も、フォーラムも中立的であり、広告放送は町長の恣意的理由 によって中止させられた。 フォーラムが中立的であったのは、「行政の中立性」を主張する町長自らが参加したことで実証済み。 |
被告 | 町がフォーラム主催者の立場に賛同しているような印象を与えるので、行政の 中立性に疑問をもたれるような広告放送は差し控えるべきであると判断した。 |
これを受けて今後の争点は、「中止の真の理由とその背景」へといよいよ事件の核心に迫ってゆくものと想定される。すなわち、町長はなぜ「黒い土」搬入問題に異常なまでに過敏に反応したのか、といった点に。