緑の地球ネットワーク大学

第 ７ 回 FOCAS セミナー

- 未来志向複雑系適応システム -

メッセージ（１９９８年度）

プログラム

8月５日（木）

　
• セミナー１ (9:00 - 12:00)
  
  Ａ）未来志向複雑系適応研究（ＦＯＣＡＳ）とシナリオ分析
  　　山口　薫、大阪産業大学教授（経済学博士）
  
  （内容）未来とは何か、未知の未来を本当に学べるのかについて考察し、予測できない未来を研究する方法論について考えます。特にこのセミナーから誕生した未来志向複雑系適応研究という新しい学際分野について説明します。
  
  Ｂ）システム思考とシステムダイナミックモデリング入門
  　　マチアス・ルース博士　ボストン大学エネルギー環境研究所教授
  
  （内容）東洋の禅仏教思想には、カルマとか因縁とかいう考え方がありますが、こうした森羅万象すべての諸現象がお互いに依存し、影響しあっているというこ とを、コンピュータを用いて科学的に分析、シミュレーションしようというのが、システム思考、システムダイナミックスのモデリングです。最近各分野で著し く応用され始めているこの理論を、この分野の第１人者が解説します。
  
  
• セミナー２ (13:30 - 16:30)
  
  Ａ）動画で学ぶ大脳：コンピュータ利用による複雑なシステムの教育例
  　　テオドール・ボネイダ博士　ノースイースタンオハイオ大学医学部教授
  
  （内容）ノーベル医学賞受賞のスペリー博士の愛弟子であり、大脳生理学の第１人者が、複雑な大脳の機能をコンピュータのアニメーションを用いて学ぶＣＤを昨年アメリカで開発し市販を始めました。このソフトを用いて私たちの大脳と心の働きについてやさしく解説します。
  
  Ｂ）カオス・複雑系入門　　
  　　スチーブ・ビショップ博士、　ロンドン大学非線形ダイナミックス研究所教授
  
  （内容）今世紀最後の科学上の大発見といわれているカオス現象、及びこの研究から進化・発展した複雑系の物の見方は、今、人工生命、コンピュータゲーム等 のみならず、私たちの身の回りでも、至るとことで大変革をもたらしつつあります。この分野の第１人者がカオス・複雑系のことを全然知らない人を対象にやさ しく解説します。

8月６日（金）

　
• セミナー３ (9:00 - 12:00)
  
  Ａ）市場経済におけるカオス現象
  　　山口　薫、大阪産業大学教授（経済学博士）
  
  （内容）計画経済のソ連が崩壊してすでに１０年になろうとしてます。今や世界経済は好むと好まざるとに関わらず市場経済及び市場原理に基づくグローバル化 一辺倒になってしまいましたが、そのひずみ、及び弱肉強食による二極化の弊害も顕著になりはじめてきました。実は市場経済は万能薬ではなく、そこにはカオ ス現象に基づく無秩序原則が横行していたのです。市場原理とカオス現象の関わりをコンピュータシミュレーションを用いて解説します。
  
  Ｂ）持続可能性の文化と複雑系
  　　水田　和生　京都産業大学教授
  
  （内容）私たちは、この世に生まれたその日から、両親、家族、環境の中で知らず知らずの内に文化のＤＮＡ（遺伝子）といわれる性質を育んで生きてきており ます。はたしてこうして新たに創造される文化のＤＮＡは、私たちの存在を豊かにし、持続可能な未来を育んでくれるのでしょうか。ますます、私たちを混沌と した複雑系の世界に追いやっているのではないでしょうか。その複雑系の世界から何を新たに創造すべきか。こうした問題について考えてみます。
  
  （ボネイダ博士とビショップ博士は、午前中、地元の東浦中学校で講演されます）
  
  
• セミナー４ (13:30 - 16:30)
  
  Ａ）複雑な経済・生態系モデルに於ける意思決定のダイナミックモデル
  　　マチアス・ルース博士　ボストン大学エネルギー環境研究所教授
  
  （内容）すでにシステムダイナミックスの考え方を学んだ受講生に、こうしたコンピュータシミュレーションモデルによる最新の研究成果の一部を披露します。特にエコロジーと経済との関わりをどのようにモデル化するかについてお話しします。
  
  Ｂ）科学する楽しみと未来研究
  　　ー海外の講師先生方との対話ー
  
  （内容）今回のセミナーには、世界的に著名な研究者３名が講師として参加されています。一般的には無味乾燥で退屈そうに見える科学研究がなぜ趣味のごとく 楽しいのか。科学者となった動機、その子供時代、科学者にもある悩みごと等についてざっくばらんにお聞きします。また、科学者が予見する２１世紀の未来に ついてもお尋ねします。質問者は、勿論、皆さん一人一人の受講者です。

8月７日（土）

　
• セミナー５ (9:00 - 12:00)
  
  Ａ）工学に於けるダイナミックシステムと複雑系
  　　スチーブ・ビショップ博士、　ロンドン大学非線形ダイナミックス研究所教授
  
  （内容）すでにカオス・複雑系の考え方を学ばれた受講者を対象に、物を製造するという工学の世界で、こうしたカオス・複雑系の諸現象がどのような問題をもたらしているのかについて、少し専門的に語ってみましょう。物づくり、デザインの世界でのカオスの話です。
  
  Ｂ）ゴキブリは心を持っているか？
  　　テオドール・ボネイダ博士　ノースイースタンオハイオ大学医学部教授
  
  （内容）心を持っているのは、人間だけなのでしょうか。悲しみや喜びの感情は人間固有なのでしょうか。私たちの大脳に突如として現れる複雑系の諸現象と心の問題についてもう一度新しい視点から考えてみることにします。
  
  
• セミナー６ (13:30 - 16:30)
  
  A) 環境問題と持続可能な開発
  　 　新田義孝　四日市大学教授（工学博士）
  
  （内容）今や２１世紀の地球環境問題を考えるに際して、経済成長、資源そして環境という３つのキーワードの相互依存関係、その全体像を抜きにして語ること は不可能です。こうした３つのキーワードを「トリレンマ」という言葉で普及させた第１人者が、現在の地球環境がかかえる環境問題について多くの事例、イラ ストを駆使しながら熱っぽく語ります。
  　
  B)　持続可能な開発への挑戦と中国との協力
  　 　新田義孝　四日市大学教授（工学博士）
  
  （内容）日本の森林破壊の原因の一部は中国からの酸性雨です。大量の化石燃料（特に石炭）のエネルギーに頼らざるを得ない中国の経済成長は、日本への酸性 雨という負の副産物をもたらすだけなのだろうか。実はこうした問題を一挙に解決する救世主のような技術があったのです。その技術の紹介、及び最近の中国、 タイ、オーストラリア等の技術者の友情あふれる協力体制についてお話しします。感動が新たな夢の始まりとなるお話です。

  ジャパンフローラ２０００会場と淡路景観園芸学校見学 (16:30 - 18:30)
  マリンローズログハウスでのバーベキューパーティー (18:30 - 21:00)

８月８日（日）

緑の地球ネットワーク大学　オープン・セミナー

大橋開通と東浦町・淡路島の未来

• 歓迎の挨拶（10:00- 10:30)
  新阜（におか）京一　東浦町長

  開会の辞
  尾上　久雄　京都大学名誉教授（経済学博士）
  緑の地球ネットワーク大学実行委員会委員長

  基調報告
  斉藤　貢、緑の地球ネットワーク大学実行委員会事務局長

• FOCAS 東浦フォーラム (10:30 - 12:00)
  
  (A) 東浦町の子供たち６名による「まちの未来像」発表
  
  (B) パネルディスカッション：子供たちが見た淡路島・東浦町の未来
  　 パネリスト
  　　　新阜（におか）京一　東浦町長
  　　　東浦町の子供たち６名
  　　　テオドール・ボネイダ博士　ノースイースタンオハイオ大学医学部教授
  　　　水田　和生　京都産業大学教授
  
  　コーディネーター
  　　　山口　薫、緑の地球ネットワーク大学実行委員会副委員長（経済学博士）

  英語逐次通訳あり。

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  セミナー参加費	留学生、学生、院生	３、０００円
  	一般	５、０００円
  （但し、８月９日のオープンセミナーは無料）

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  FOCAS セミナーシリーズ